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(更新日:2008年6月10日) |
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| photograph by Shuhei Hori/text by Kei Komori | |||||||||||||||||
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2000年に設立して以来、産業廃棄物排出事業者向けに廃棄物・リサイクルガバナンス構築、ゼロエミッション、LCA・二酸化炭素削減を、処理事業者向けに事業計画作り・資金調達、営業・経営管理強化、新規事業立ち上げなどを提供。近年問題が表面化したアスベスト問題にも迅速に対応し、わずか8年あまりの歳月で年商17億以上を売り上げる企業へ。そして、日本の環境事業とリサイクル業界のインフラを築き上げた同社は、今や官公庁や自治体との連携を深めながら京都議定書の期間に突入した日本を支える重要な存在となっている。
今回はそんな、日本の環境・リサイクル事業を牽引する株式会社リサイクルワンの代表、木南 陽介氏にお話を伺った。
−−環境問題にはいつ頃から関心を抱いていたのですか? 僕は生まれも育ちも神戸なんです。神戸というと今でこそ都会的なイメージもありますが、六甲山が近くにあるように、本来は緑豊かで海も近く、綺麗な川も流れている自然の多い町なんです。でも、そういう場所って、逆に人工物が目立ってくるんですよね。
小さな頃はよく山の中を駆け回って遊んでいたのですが、次々とダムが建設されたり、埋め立て地が拡大していったり、海が汚れていくのを目の当たりにしました。それで子供ながらにして「このままで良いんだろうか」って考えるようになったんだと思います。
大学に進んでから、僕は、環境経済学を専攻科目として選びました。大学1年のときには、既に今のリサイクルワンのプロトタイプとなるビジネスモデルの構想に着手していました。つまり、廃棄物を処理して欲しい人と、処理する人をネットワークで結びつけるというモデルですね。当時にしてはわりと良いところまでカタチにできたと思います。でも、結局、このときの僕はそのビジネスを実行しませんでしたし、どちらかというと環境に関する「学問」には、あまり興味を持ちませんでした。
――興味が失せてしまったということでしょうか。 いえ。そのときの自分には、まだ事業の具体化ができていなかったからです。環境問題って、ようは物理学の世界なんですよ。資源はそもそも無限ではなく、一度使用したものは元に戻せない。『エントロピーの法則』ですね。そう考えると、確かに限りある資源を有効活用するような新しい技術っていうのも大事なのですが、それが開発されても、それが使用されなければ意味がありません。
つまり、技術だけでなく、事業活動として全国各地に伝播していくようになることが大切なんです。それを可能にするのは組織力、加えて国民を導いてゆく法律や制度の整備。そういうことに気がつくと、とてもじゃないけど何も知らない学生一人では手に負えない、そう思ったんですね。
それから、僕が大学の講義にあまり興味を持てなくなってしまったのは、純粋に大学の講義が僕の期待に応えてくれなかった、というだけです。学校の授業からはごく部分的、または現象的なことしかなかなか学びにくい。どちらかというと、机の前でじっとしているより、自分の目で実際に見に行きたいと思う方なんです。
かねがね思っていたのですが、日本の自然って“優しい”と思うんです。もちろん、雪崩や洪水で死者がでていることも多々あります。世界の自然、本来の自然の姿はこんなものではない、少なくとも見た人が「この自然を破壊・支配しよう」なんていう考えを抱けないくらいの厳格な姿が存在しているわけです。パキスタンには、ナンガパルバットという、標高8000メートルになる巨大な山があります。これまでに沢山の登山家が命を落とした、危険な山として知られていて、その話を聞いたとき、ここに行けば過酷な自然の姿を見られるのでは、と思い興味を持ちました。
ナンガパルバットやインダス川の源流、それから広大なタクラマカン砂漠などを見て回りましたが、実際、この旅を終えて感じたのは、自然の広大なこと、そして、人間の小さいことです。ヒトは、確かに60億匹も居る。数万年前にサルから派生して以来、現在までものすごい繁殖期で、今やほ乳類で最も数の多い種族です。科学を発明し、一見すると地球上を支配しています。でも、だからと言って、自然の本当の姿と比較してみれば、まだまだごく小さい存在です。それなのに、どんどん地球環境を壊している。
実は、勉強をそっちのけで夢中になっていたことがもうひとつあるんです。それは、IT企業でのアルバイトです。バイトといっても、やっていたことは新規にプロバイダの事業を立ち上げるなどに携わっていたのですが、その時に生まれて初めてビジネスというものの面白さを知り、経営に興味を抱きました。
僕は両親が教師、祖父が画家という家庭で育ったので、“経営”や“事業”というものとの接点があまり多くありませんでしたから、逆にそれが初めて間近で見たビジネスを印象深くさせたのかもしれません。
僕はこのバイトを辞めた後、大学のシステムに詳しい仲間たちと一緒にシステム開発の会社を立ち上げました。システム開発は、自分たちでも充分仕事して起業できそうだと思ったんですね。僕は自ら興したこの会社で二年ほど自分なりに経営を学びつつ、大学を卒業し、マッキンゼーに入社しました。
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――木南さんの目には、日本の環境問題への取り組みがどのように映っていますか? そうですね、ヨーロッパ諸国などと比べると、全体感が無いというか、計画性の面で一貫性を失っているような気がします。例えば、ゴミ焼却プラントひとつ取っても、日本は1800箇所も保有しています。例えばドイツなんかは約50箇所しかない。大きな設備を計画的に立地させている。日本は人口で見ればせいぜい100個あれば充分なところをただ乱立させている。いかに効率を考える視点がないかが窺えます。
アメリカには年間売上1兆4000億円を超える廃棄物処理業の世界最大手企業が存在します。対する日本の最大手は、年間売上わずか200億円程度。経済規模に3倍の差があることを考慮しても、1兆4000億円の3分の1の4000億にも遠く及ばない。もちろん、これからだと思うのですが、諸外国にひけを取らないようになるためには、やはり合理性と効率性を追求していくことが今必要でしょう。そうすることによって、無駄がなくなり、社会として環境コストが下がっていきますし、また、企業としても利益をアップさせることができます。
そうすれば、同じ資金を使って、よりレベルの高い投資――今できていない様々な取り組みにも着手することができるようになります。
それから、日本の内向きな視点では、海外の進化を横目に見ながら、環境事業で外貨を稼ぎきれていない。環境技術を輸出する、ということがよく言われますが、本当にできているのかと言えば、どうなのかなって思います。例えば隣の中国に設置されている風力発電事業(CDM登録済み)の8割がヨーロッパ企業のもの。一位がイギリス。オランダ、ドイツ、スペインと続き、日本企業の発電事業は全体のほんの10パーセント程度しかありません。
日本は、国民一人ひとりで言ったら、とても省エネ意識の高い国だと思います。でも、細かい日々の積み上げだけでは、全体を変えるには速度が上がらない。より大きな規模で解決に向けたグランドデザインをしなくては思うような成果も上がらない。そのことをもっと意識すべきだと思いますね。
――世界に目を向ければ向けるほど、真の環境先進国への道のりはまだ遠いことが如実にわかります。そのような中で、木南さんはタフに事業を続け、結果を出されているわけですが、何か支えになっている考え方があるのでしょうか?
マッキンゼーで学んだ逆算の発想が生きているのかはわかりませんが、僕の頭の中では、日々、カウントダウンが進行しているんです。僕は今33歳、1年は365日ですから、60歳までの残り時間はおよそ1万日。それがゼロになったときが、自分の最期。そう思えば、一日一日手を抜けない、本気で味わえるじゃないですか。
環境って、ご存じの通り、汚染するのはあっという間なのに、元に戻すまでには長い時間が掛かるものなんですよ。一度汚染された空気は、数百年掛からないと綺麗にならないかもしれない。とうてい、僕の残り30年の人生では解決しきれない、途方もない作業です。僕の会社が1立方メートルの土を綺麗にしたとしても、それは世界中の一億分の一の土を綺麗にしたかどうかねわからない小さな話ではあります。
でも、そうやって自分にできることの限界が見えるのは、決して悪いことじゃないんです。限界を考えず、自分一人で全てを解決するような気持ちでがむしゃらにやっても、空回りしてしまうだけ。最初に言ったように、環境問題を解決するのは一人ではなく組織なわけですから。一億分の一でも、綺麗になった、そこから汚染がなくなったことには変わりない。みんなでやることを考えながら、自分一人でできることを全うし、死ぬまでに少しでも多く自分の実績を残していけたら、そう思っています。
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